感染症と共存する新しい⽣活様式におけるボクシング競技の活動再開に関するガイドライン
1. はじめに
昨年末に発⽣した新型コロナウイルス感染症の蔓延により、東京オリンピックを含む数多くのスポーツイベントが⾃粛となった。幸い、本邦においては、緊急事態宣⾔下での国⺠の節度ある⾏動、最前線となる医療機関での奮闘の結果、感染第⼀波は収束を迎えつつある。経済活動再開と同様、スポーツに関しても、バランスの良い出⼝戦略策定が急務である。
令和 2 年 5 ⽉ 14 ⽇、スポーツ庁より『社会体育施設の再開に向けた感染拡⼤予防ガイドライン』が発表された。本ガイドラインは、その中に⽰された各競技団体への要求に基づいて、⽇本ボクシング連盟医事委員会が独⾃に策定したものである。なおこの提⾔の作成において、全国⾼体連ボクシング専⾨部の『新型コロナウイルス感染症に対応したボクシング競技の部活動に係るガイドライン』を参考にした。この提⾔は、あくまでも感染がコントロールされた地域・状況におけるボクシング競技再開において、最低限度必要となる対策の提案であり、この対策により感染が完全に防げるものではない。各地域の感染状況は⼀律ではないため、本ガイドラインを参考に、各地域における、実情に応じた徹底した対策の必要がある。もちろん、このガイドラインそのものも、今後の医学的知⾒の集積および感染状況の変化に応じて、逐次⾒直しが必要である。
競技再開にあたっての基本的考え⽅
スポーツジムを含む屋内運動施設は、「これまでにクラスターが発⽣した主な施設類型」として挙げられており、緊急事態宣⾔下において、都道府県知事からの使⽤制限の要請等に基づき適切に対応することが求められていた。特に、激しい呼気や⼤きな声を伴う運動については、⾶散するエアロゾルに含まれるウイルスを原因とする⾶沫感染、接触感染による、クラスター発⽣の可能性が指摘されている。社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保つための⼊場制限や誘導、⼿指の消毒、⼗分な換気、マスク着⽤等の対策の徹底と、「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける基本的な感染防⽌対策が必要である。練習の再開に関しては、地域状況を勘案し、この提⾔によって⽰される対策を徹底したうえで、各施設での判断をお願いしたい。また、競技会の再開に関しては、クラスター発⽣時の社会的な影響は⼤きい。本稿で⽰す対策の徹底はもちろん、感染の危険が考えられる場合には、安易な⼤会の開催は慎むべきである。各ブロック医事委員⻑を含む⼤会関係者における⼗分な検討をお願いしたい。
しかしながら、この感染症の収束は⼀朝⼀⼣で得られるものではない。我々は、暫くの間、コロナウイルスと共に(ウィズコロナ)⽣きていかなければならない。その中で、どのように競技を再開し、⼼⾝ともに健全な選⼿を育成していくべきか。本稿がその⼀助となることを願っている。
(⽇本ボクシング連盟 医事委員⻑ 岩尾聡⼠)
2. 「競技活動再開」の判断
競技活動再開と⾔っても、⼤きく、部活動やスポーツジムにおける「練習の再開」、と「⼤会の開催」に分けられる。感染、特にクラスターが発⽣した際の社会的影響の⼤きさから、両者の再開に関しては、明確に差別が必要であると考えられる。そこで以下の様に提案する。
2-1. 各施設における練習の再開に関して
所属都道府県の感染状況を勘案し、本ガイドラインに明⽰した感染対策を遵守した上で、各施設の⾃主的な判断で⾏う。また、市中ボクシングジムでの練習に関しては、各都道府県におけるスポーツジムなどの⾃粛状況も勘案されなければならない。
2-2. ⼤会の開催の可否に関して
クラスター発⽣時の社会的な影響の⼤きさを勘案すると、医学専⾨家の介⼊が必須である。そこで、都道府県・ブロックレベルでの⼤会の開催に関しては、本ガイドラインを遵守した上で、最終的にブロック医事委員⻑が医学的に「開催可能」であるかどうかという判断をする必要がある。
2-3. 全国⼤会レベルの開催に関して
⽇本連盟の決定に準ずる。
練習再開におけるチェックリスト
- 該当都道府県における感染状況がコントロールされており、スポーツジムでの運動が可能な状況にある
- 本ガイドラインにおける感染対策を徹底し、遵守可能である
- 練習に参加する選⼿の連絡先などを把握しており、感染・クラスター発⽣時の追跡に必要な情報を提供することができる
競技会開催におけるチェックリスト
- 該当都道府県における感染状況がコントロールされており、社会的に⼤会開催が容認される状況にある
- 本ガイドラインにおける感染対策を徹底し、遵守することが⼤会関係者に周知・徹底されている。
- ⼤会に参加する選⼿・関係者の連絡先などを把握しており、感染・クラスター発⽣時の追跡に必要な情報を提供することができる
- 該当ブロックの医事委員⻑が、医学的⾒地から⼤会を開催可能と判断している
3. 「練習活動」における感染防⽌対策
3-1. 練習時の感染予防
- 練習会場に⼊るまではマスクを着⽤する。
- 以下に該当する場合は、練習の参加を⾒合わせること。練習に参加しない場合は、まっすぐ帰宅し⾃宅待機とし、⾏政の指⽰に従い、必要があれば検査を受けること
- 体調がよくない場合
(例:発熱、咳、咽頭痛、味覚・嗅覚異常などがある場合) - 感染者もしくは感染が強く疑われる⼈と同居しているか濃厚接触歴がある場合
- 過去 14 ⽇以内に政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航⼜は当該在住者との濃厚接触がある場合
- 体調がよくない場合
- 練習前にチェックリストに記⼊して、指導者が管理する。
- ⽒名、年齢、住所、連絡先(電話番号)※個⼈情報の取扱いに⼗分注意する
- 練習当⽇の体温
- 練習前2週間における以下の事項の有無
- 平熱を超える発熱
※無発症者や、発症前1〜2⽇の者は発熱しないことにも留意する。 - 咳(せき)、のどの痛みなど⾵邪の症状
- だるさ(倦怠(けんたい)感)、息苦しさ(呼吸困難)
- 嗅覚や味覚の異常
- 体が重く感じる、疲れやすい等
- 新型コロナウイルス感染症と診断された者との濃厚接触の有無
- 同居家族や⾝近な知⼈に感染が疑われる⽅がいる場合
- 政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航又は当該在住者との農耕接触がある場合
- 練習前には、⼿指の洗浄と消毒を⾏う。
- 練習中に体調不良を感じたら、躊躇せず指導者に申し出るとともに、練習を中⽌し、施設管理者の指⽰に従い、隔離が可能な場所に速やかに移動する。
- 減量は、感染症に対する抵抗⼒を低下させる恐れがあるため、負担の⼤きい無理な減量は⾏わない。
- いつ、だれが、どのように練習したかという練習記録を残す。
3-2. 練習環境の密閉の回避
- 屋外で練習可能な場合は、積極的に考慮する。
- 屋外で練習する場合、施設内の他の活動団体(者)との接触に注意し、安全⾯の確保も確認する。(同⼀施設利⽤者と事前に調整し、三密を避けるようにする)
- 屋内で練習する場合は、「換気」に注意し、窓を全開にして活動するか、少なくとも 1 時間に 2 回以上は換気を⾏い、2⽅向の窓を数分間は全開にして、⾵の流れを作る。
- 屋内の練習場所で、窓が1つしかない場合は、⼊⼝のドアを開けて⾵の流れをつくるとともに、扇⾵機などを活⽤して換気効率を⾼める⼯夫を⾏う。
- 窓がない施設で練習する場合、換気設備が確実に作動しているかを確認する。なお、空気を循環させているだけのエアコンで換気が⾏われない場合は、別途、換気を確保する。
- 練習場所は、⼀般的に屋内で狭い空間である場合が多く、三密の状況を作りやすい。新型コロナウイルス感染対策のために、練習環境の⾒直しを積極的に考慮する。
3-3. 練習時の密集の回避
- 練習では、準備運動を含めて基本的に互いに⼿を伸ばして届かない⼗分な間隔(2メートル以上)を取る。
- 準備運動においては、2⼈組での活動は⾏わない。
- ⼀⼈で⾏える練習(シャドーボクシング、サンドバック打ちなど)を優先する。
- スペースと⼈数の関係で、⼀⻫に活動したとき、基準となる2メートルの間隔を保てない場合は、活動に時間差を設ける、活動時間を分散するなどして、必要な間隔を確保する。
- シャドーボクシングを⾏う場合、活動スペースを明確に区切り固定し、そのスペース枠を考慮したうえで、適切な距離を確保する。
- ロードワークを⾏う場合、前後(左右)の選⼿の間隔は、5メートルから 10 メートルの距離を確保する。マスクの着⽤でのロードワークを推奨するが、熱中症などのリスクも考慮し柔軟に対応する
3-4. 練習時の密接の回避
- 練習は選⼿も指導者も距離をとって⾏う。⼤きな声で話さない。指導者はマスクを着⽤。
- ミーティングや休憩時においても、選⼿間の距離を保ち正対しないようにする。マスクを着⽤し、⼤きな声での会話を控える。
- 対⼈練習は、ボクシングという競技性を考慮すると、必要不可⽋なものであるが、練習そのものが「密接」したものであることを理解する必要がある。そのため、必要最⼩限に⽌め、対⼈練習に使⽤したグローブやヘッドガード、ミットは練習終了後、消毒する。
- ミット打ちは、ミットを受ける者は、マスクを着⽤する。選⼿においては可能な限りマスクを着⽤するが、熱中症や呼吸困難を招く可能性もあるため、柔軟に対応する。接触による怪我のリスクもあるので、フェースシールドは推奨しない。
- スパーリング、マスボクシング、ミット打ちなどの対⼈練習を⾏う際に、相⼿が次々と⼊れ替わり、多数の濃厚接触者が発⽣するような組み合わせは避ける。練習相⼿が変わる際には、⼀旦⽤具の消毒などを⾏う。
- 競技⼤会開催、出場を念頭においた練習再開であると考えると、スパーリングを禁⽌することはできない。また、フェースガード付きヘッドギアの着⽤に関する安全性も検証されていないことを考えると、通常のヘッドガードを装着してのスパーリングを、必要があれば実施すべきである。通常のヘッドガードのみでのスパーリングが許容されない環境であれば、それはまだボクシング競技を⾏うことが、感染の状況的に、社会的に許容されない状況であると理解する必要があるだろう。
- 練習中のうがいは洗⾯所に⾏き隣との距離を置き⾶沫を⾶ばさないように静かに⾏う。
- 共⽤のペットボトルでのうがい、共⽤のバケツへの排⽔はしない。
- 練習中にうがいや給⽔タイムを設け、給⽔は練習会場に各⾃のバッグの中に⼊れた個⼈所有のペットボトルを使⽤する。
- 練習後着替えたら、マスクを付けて施設を出る
3-5. 施設・設備・⽤具の消毒
- 練習⽤具は極⼒個⼈所有の物を使⽤し共有を避ける。共有する場合は、使⽤者が変わるその都度、消毒を⾏う。アルコール消毒が望ましいが、⽤具によって消毒⽅法は検討する。
- 練習⽤具を共有する場合には、ナンバーを記⼊し誰が(対⼈練習の場合は誰に対してまで)使⽤したか履歴を管理する
- ストレッチマットを使⽤した場合は使⽤した者が消毒する
- グローブ・ミット・サンドバック・リングロープ・シューズ・ドアノブなど、選⼿が触れる可能性のある⽤具・設備は、練習の前後で必ずアルコールにより消毒を⾏う。
4. 競技会開催・実施時の感染防⽌策(主催者向け)
4-1. 全般的な事項
- 感染防⽌のため、主催者が実施すべき事項や参加者が遵守すべき事項をあらかじめ整理し、チェックリスト化したものを適切な場所(競技会の受付場所等)に掲⽰すること
- 各事項がきちんと遵守されているか会場内を定期的に巡回・確認すること
- 障がい者や⾼齢者など利⽤者の特性にも配慮すること
- 万が⼀感染が発⽣した場合に備え、個⼈情報の取扱いに⼗分注意しながら、参加当⽇に参加者より提出を求めた書⾯について、保存期間(少なくとも1⽉以上)を定めて保存しておくこと
- 競技会後に参加者から新型コロナウイルス感染症を発症したとの報告があった場合や、地域の⽣活圏において感染拡⼤の可能性が報告された場合の対応⽅針について、施設の⽴地する⾃治体の衛⽣部局(⾼体連主催の⼤会においては都道府県教育委員会及び都道府県⾼体連)とあらかじめ検討しておくこと
4-2. 競技会参加募集時の対応
主催者が参加者に求める感染拡⼤防⽌のための措置としては、以下のものが挙げられる。
- 参加者が以下の事項に該当する場合は、参加の⾒合わせを求めること(競技会当⽇に書⾯で確認を⾏う)
- 体調がよくない場合
(例:発熱、咳、咽頭痛、味覚・嗅覚異常などがある場合) - 感染者もしくは感染が強く疑われる⼈と同居しているか濃厚接触歴がある場合
- 過去 14 ⽇以内に政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航⼜は当該在住者との濃厚接触がある場合
- マスクを持参すること(参加受付時や着替え時等のスポーツを⾏っていない際や会話をする際にはマスクを着⽤すること)
- こまめな⼿洗い、アルコール等による⼿指消毒を実施すること
- 他の参加者、主催者スタッフ等との距離(できるだけ2m以上)を確保すること(障がい者の誘導や介助を⾏う場合を除く)
- 競技会中に⼤きな声で会話、応援等をしないこと
- 感染防⽌のために主催者が決めたその他の措置の遵守、主催者の指⽰に従うこと
感染防⽌のために参加者が遵守すべき事項を明確にし、これを遵守できない参加者には、参加取消しや途中退場を求めることがあることを周知する。 - 競技会終了後2週間以内に新型コロナウイルス感染症を発症した場合は、主催者に対して速やかに濃厚接触者の有無等について報告すること
4-3. 参加受付、健診計量時の対応
- 受付窓⼝には、⼿指消毒剤を設置すること
- 発熱や軽度であっても咳・咽頭痛などの症状がある⼈は⼊場しないように呼び掛けること(状況によっては、発熱者を体温計などで特定し⼊場を制限することも考えられる)
- ⼈と⼈が対⾯する場所は、アクリル板、透明ビニールカーテンなどで遮蔽すること
- 参加者が距離をおいて並べるように⽬印の設置等を⾏うこと
- 受付を⾏うスタッフには、マスクを着⽤させること
- インターネットやスマートフォンを使った電⼦的な受付の⼀層の普及を図り、受付場所での書⾯の記⼊や現⾦の授受等を避けるようにすること
- 当⽇の受付のほか、競技会前⽇の受付等混雑を極⼒避けるようを考慮すること
- 参加者から以下の事項を記載した書⾯の提出を求めること
- ⽒名、年齢、住所、連絡先(電話番号)※個⼈情報の取扱いに⼗分注意する
- 当⽇の体温
- 競技会前2週間における以下の事項の有無
- 平熱を超える発熱(おおむね 37 度5分以上)
- 咳(せき)、のどの痛みなど⾵邪の症状
- だるさ(倦怠(けんたい)感)、息苦しさ(呼吸困難)
- 嗅覚や味覚の異常
- 体が重く感じる、疲れやすい等
- 新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触の有無
- 感染者もしくは感染が強く疑われる⼈と同居か濃厚接触歴がある場合
- 政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航⼜は当該在住者との濃厚接触がある場合
- 健診時、ドクターはマスクを着⽤する。フェースシールドの着⽤は義務とはしないが、ドクターの判断で着⽤が妨げられるものではない。⼝腔内の診察は省略する。⼿指や聴診器、打鍵機を、アルコール性消毒薬で消毒し、接触感染の予防に努める。
- 点呼、健診補助、計量などに関わるスタッフは、マスクを着⽤し、選⼿に対応するたびに、⼿洗いやアルコール性消毒薬で⼿指を消毒して接触感染予防に努める。
4-4. 競技会参加者への対応
マスク等の準備
- 参加者がマスクを準備しているか確認すること
- 参加の受付、着替え、表彰式等の運動・スポーツを⾏っていない間については、マ スクの着⽤を求めること(ウォームアップ間のマスクの着⽤は、熱中症や呼吸困難のリスクとの兼ね合いになるが、努⼒義務とする。競技中のマスクの着⽤は禁⽌する)
競技会参加前後の留意事項
- 競技会の前後のミーティングや懇親会等においても、三密を避けること。
- ミーティング時は、マスクの着⽤を義務付ける
- 試合後、⽤具を外す・汗を拭きとるなどの際においても周囲への⾶沫拡散を配慮し適切な距離をとる。
4-5. 競技会主催者が準備すべき事項
⼿洗い場所(トイレ以外)
- ⼿洗い場には⽯鹸(ポンプ型)を⽤意すること。固形⽯鹸は避けること。
- 「⼿洗いは 30 秒以上」等、⼿洗いを奨励する掲⽰を⾏うこと
- ⼿洗い後に⼿を拭くためのペーパータオル(使い捨て)を⽤意すること(参加者にマイタオルの持参を求めても良い。布タオルや⼿指を乾燥させる設備については、エアロゾルの発⽣を招く可能性があるので、使⽤を禁⽌すること)
- ⼿洗いが難しい場合は、アルコール等の⼿指消毒剤を⽤意すること
更⾐室、休憩・待機スペース
- 広さにはゆとりを持たせ、他の参加者と密になることを避けること(障がい者の介助を⾏う場合を除く)
- ゆとりを持たせることが難しい場合は、⼀度に⼊室する参加者の数を制限する等の措置を講じること
- 室内⼜はスペース内で複数の参加者が触れると考えられる場所(ドアノブ、ロッカーの取⼿、テーブル、イス等)については、時間を決めて、スタッフがこまめに消毒を⾏うこと
- 換気扇を常に回す、換気⽤の⼩窓をあける等、換気に配慮すること
- スタッフが使⽤する際は、⼊退室の前後に⼿洗いをすること
洗⾯所(トイレ)
- トイレ内の複数の参加者が触れると考えられる場所(ドアノブ、⽔洗トイレのレバー等)については、時間を決めて、スタッフがこまめに消毒すること
- トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう掲⽰すること
- ⼿洗い場には⽯鹸(ポンプ型)を⽤意すること。固形⽯鹸は避けること。
- 「⼿洗いは 30 秒以上」等、⼿洗いを奨励する掲⽰を⾏うこと
- ⼿洗い後に⼿を拭くためのペーパータオル(使い捨て)を⽤意すること(参加者にマイタオルの持参を求めても良い。布タオルや⼿指を乾燥させる設備については、エアロゾルの発⽣を招く可能性があるので、使⽤を禁⽌すること)
飲⾷物の提供時
- 参加者が飲⾷物を⼿にする前に、⼿洗い、⼿指消毒を⾏うよう声を掛けること
- スポーツドリンク等の飲料については、ペットボトル・ビン・⽸や使い捨ての紙コップで提供すること(ただし、ドーピング検査の対象となる者が参加するイベントでは、未開封の飲料を提供しなければならない)
- ⾷品については、参加者が同じトング等で⼤⽫から取り分ける⽅式を避け、⼀⼈分を⼩⽫に取り分けたものを参加者に提供するなど、⼯夫を⾏うこと
- 飲⾷物を取り扱うスタッフにはマスクを着⽤させ、⼿洗いを徹底させること
観戦者の管理
- 関係者以外の観戦者を⼊場させての競技を⾏うかどうかは、競技会企画時に、該当地域での感染の状況、社会情勢を勘案した上で、⼗分に検討すること。
- 観戦者(保護者を含む)を⼊場させる場合には、観戦者同⼠が密な状態とならないよう、あらかじめ観客席の配置や、数を減らすなどの対応をとること。
- ⼤声での声援を送らないことや会話を控えることを周知すること。
- 観戦する場合はマスクを着⽤すること等の留意事項を周知すること
競技会会場
- 競技会会場が換気の悪い密閉空間とならないよう、⼗分な換気を⾏うこと
- 換気設備を適切に運転すること
- 定期的に窓を開け外気を取り⼊れる等の換気を⾏うこと
- 会場が密閉空間とならないよう、換気設備を適切に運転するとともに、窓や出⼊り⼝を開放し、外気を取り⼊れるなどの換気を⾏うこと。なお、換気設備が不⼗分な会場では、⼤型扇⾵機などを活⽤し、⾵の流れをつくり換気効果を⾼める⼯夫を⾏うこと。
ゴミの廃棄
- ⿐⽔、唾液などが付いたごみは、ビニール袋に⼊れて密閉して縛る。ゴミを回収する⼈は、マスクや⼿袋を着⽤すること
- マスクや⼿袋を脱いだ後は、必ず⽯鹸と流⽔で⼿を洗い、⼿指消毒すること
4-6. 選⼿がウォームアップを⾏う際の留意点
- 試合前の動的ウォームアップ(シャドーボクシングやミット打ち)は、運動強度が⾼まり呼気も激しくなるため、⼗分なスペースを確保する必要がある。そのため選⼿の出場予定時刻などにより場所や時間を指定する。ウォームアップのためのマスボクシングは、管理できない濃厚接触を⽣む可能性があるため、禁⽌する
- シャドーボクシングやミット打ちは、所定のエリア内で⾏い、他の選⼿と対⾯となって、⾶沫感染のリスクを発⽣させることがないよう注意すること。
- タオルの共⽤やドリンクの回し飲みは⾏わないこと。
- 試合前のグロービングルームは関係者同⼠が距離をとれるようにする。
4-7. 試合を⾏う際の留意点
- フェースガードを伴うヘッドガードの使⽤に関しては、それ⾃体の使⽤の安全性が検証されていないため、競技そのものの安全性を低下させる可能性が懸念される。そのため、フ ェースガードを使⽤しての競技は、安全性の問題から、医事委員会としては許可できない。 フェースガードを必要とするような状況では、競技⼤会の開催は⾃粛されるべきである。通常のヘッドガードのみで競技を⾏う。また、競技中のマスクの着⽤も許可しない
- レフリーのフェースシールドの着⽤は、予期せぬ接触など、選⼿の安全性が担保できない可能性があるので、着⽤しない。使い捨てのプラスチック(もしくはゴム製の)グローブを着⽤する。グローブは試合ごとに破棄し、グローブ交換の際に、⼿洗いもしくはアルコール消毒液で⼿指消毒を⾏う。ニュートラルコーナーに、グローブを破棄するためのゴミ箱(ゴミ袋)と、アルコール性の消毒薬を設置する。
- リングサイドに着席する、ジャッジ、DS、リングサイドドクター、関与するスタッフは、エアロゾル⾶散による感染のリスクがあるため、マスクもしくはフェースシールドを着⽤し、必要に応じて、アルコール製の消毒液で随時消毒を⾏う。選⼿と接触する際には、使い捨てのグローブを着⽤する。
- セコンドは、マスクもしくはフェースシールドを着⽤し、プラスチック(もしくはゴム製の)⼿袋も着⽤する。プラスチックグローブは試合ごとに交換し、フェースシールドはアルコール製消毒液で拭き上げる。
- セコンドがラウンド間の選⼿対応でタオルによる送⾵を⾏うことは、エアロゾルを発⽣させるため禁⽌する。(乾いたタオルによる汗拭きのみとする。)
- 選⼿のラウンド間のうがいの廃液やマウスピースの洗浄後の処理液及びその受け容器は、試合毎に処理、交換を⾏う。(容器は⼩型のもので、個別に消毒する。)また担当者もフェースシールド、マスクや⼿袋等の感染防⽌対策を⾏う。
- セコンドらが FOP(Field of Play)エリア内で使⽤したプラスチックグローブやフェースシールドに関しては、FOP エリア外に出る前に外し、FOP エリアの出⼝に設置したゴミ袋内に処分する。グローブを外した後に、アルコール性消毒液で⼿指消毒を⾏う。マスクに関しては、着⽤したままで良い。
- 試合終了後に相⼿コーナーへ移動し、コーチとの握⼿などが慣例的に⾏われているが、対戦相⼿意外との⾝体的接触は、可能な限り避ける。
- グローブ、ヘッドガードは、各試合後にアルコール消毒を実施し、乾燥させる。なお⽤具の消毒⽅法、担当者などは事前に打ち合わせておく。
- リングに関しては、試合ごとにロープの拭き上げを⾏い、キャンバスに関しては、その⽇の競技終了後に、拭き上げでの清掃を⾏う。
- 各グローブ、ヘッドガードなどの⽤具をどの選⼿が使⽤したか、使⽤記録を残す。
5. 社会体育施設の感染防⽌策(施設管理者向け)
5-1. 全般的な事項
- 感染防⽌のため施設管理者⾃ら実施すべき事項や、利⽤者が遵守すべき事項を予め整理し、チェックリスト化したものを施設内の適切な場所(管理事務所や各施設の⼊⼝等)に掲⽰する
- 各事項がきちんと遵守されているか施設内を定期的に巡回・確認すること
- 障がい者や⾼齢者など利⽤者の特性にも配慮すること
- 万が⼀感染者が発⽣した場合に備え、利⽤当⽇に利⽤者より提出を求めた書⾯について、保存期間(少なくとも1⽉以上)を定めて保存しておくこと(個⼈情報取扱に注意)
- ⼤会参加後に、参加者もしくは関係者から新型コロナウイルス感染症を発症したとの報告があった場合や、地域の⽣活圏において感染拡⼤の可能性が報告された場合の対応⽅針について、施設の⽴地する⾃治体の衛⽣部局とあらかじめ検討しておくこと
5-2. 施設の予約時の対応
- 利⽤者が以下の事項に該当する場合は、利⽤の⾒合わせを求めること(利⽤当⽇に書⾯で確認を⾏う)
- 体調がよくない場合
(例:発熱、咳、咽頭痛、味覚・嗅覚異常などがある場合) - 感染者もしくは感染が強く疑われる⼈と同居しているか濃厚接触歴がある場合
- 過去 14 ⽇以内に政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航⼜は当該在住者との濃厚接触がある場合
- 体調がよくない場合
- マスクを持参すること(受付時や着替え時等のスポーツを⾏っていない際や会話をする際にはマスクを着⽤すること)
- こまめな⼿洗い、アルコール等による⼿指消毒を実施すること
- 他の利⽤者、施設管理者等との距離(できるだけ2m以上)を確保すること(障がい者の誘導や介助を⾏う場合を除く)
- 利⽤中に⼤きな声で会話、応援等をしないこと
- 感染防⽌のために施設管理者が決めたその他の措置の遵守、施設管理者の指⽰に従うこと
- 利⽤終了後2週間以内に新型コロナウイルス感染症を発症した場合は、施設管理者に対して速やかに濃厚接触者の有無等について報告すること
5-3. 当⽇の利⽤受付時の対応
- 受付窓⼝には、⼿指消毒薬を設置すること
- 発熱や軽度であっても咳・咽頭痛などの症状がある⼈は⼊場しないように呼び掛けること(状況によっては、発熱者を体温計などで特定し⼊場を制限することも考えられる)
- ⼈と⼈が対⾯する場所は、アクリル板、透明ビニールカーテンなどで遮蔽すること
- 利⽤者が距離をおいて並べるように⽬印の設置等を⾏うこと
- 受付を⾏うスタッフには、マスクを着⽤させること
- インターネットやスマートフォンを使った電⼦的な受付の⼀層の普及を図り、受付場所での書⾯の記⼊や現⾦の授受等を避けるようにすること
- 利⽤者が密な状態になるおそれがある場合は、⼊場制限を⾏うこと
- 利⽤者から以下の事項を記載した書⾯の提出を求めること
- ⽒名、年齢、住所、連絡先(電話番号)※個⼈情報の取扱いに⼗分注意する
- 利⽤当⽇の体温
- 利⽤前2週間における以下の事項の有無
- 平熱を超える発熱
- 咳(せき)、のどの痛みなど⾵邪の症状
- だるさ(倦怠(けんたい)感)、息苦しさ(呼吸困難)
- 嗅覚や味覚の異常
- 体が重く感じる、疲れやすい等
- 新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触の有無
- 同居家族や⾝近な知⼈に感染が疑われる⽅がいる場合
- 政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航⼜は当該在住者との濃厚接触がある場合
- 利⽤者がマスクを準備しているか確認すること
- 施設利⽤前後のミーティング等においても、三つの密を避けること
5-4. 施設管理者が準備すべき事項
⼿洗い場所(トイレ以外)
- ⼿洗い場には⽯鹸(ポンプ型)を⽤意すること。固形⽯鹸は避けること。
- 「⼿洗いは 30 秒以上」等、⼿洗いを奨励する掲⽰を⾏うこと
- ⼿洗い後に⼿を拭くためのペーパータオル(使い捨て)を⽤意すること(参加者にマイタオルの持参を求めても良い。布タオルや⼿指を乾燥させる設備については、エアロゾルの発⽣を招く可能性があるので、使⽤を禁⽌すること)
- ⼿洗いが難しい場合は、アルコール等の⼿指消毒剤を⽤意すること
更⾐室、休憩・待機スペース
- 広さにはゆとりを持たせ、他の参加者と密になることを避けること(障がい者の介助を⾏う場合を除く)
- ゆとりを持たせることが難しい場合は、⼀度に⼊室する参加者の数を制限する等の措置を講じること
- 室内⼜はスペース内で複数の参加者が触れると考えられる場所(ドアノブ、ロッカーの取⼿、テーブル、イス等)については、時間を決めて、スタッフがこまめに消毒を⾏うこと
- 換気扇を常に回す、換気⽤の⼩窓をあける等、換気に配慮すること
- スタッフが使⽤する際は、⼊退室の前後に⼿洗いをすること
洗⾯所(トイレ)
- トイレ内の複数の参加者が触れると考えられる場所(ドアノブ、⽔洗トイレのレバー等)については、時間を決めて、スタッフがこまめに消毒すること
- トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう掲⽰すること
- ⼿洗い場には⽯鹸(ポンプ型)を⽤意すること。固形⽯鹸は避けること。
- 「⼿洗いは 30 秒以上」等、⼿洗いを奨励する掲⽰を⾏うこと
- ⼿洗い後に⼿を拭くためのペーパータオル(使い捨て)を⽤意すること(参加者にマイタオルの持参を求めても良い。布タオルや⼿指を乾燥させる設備については、エアロゾルの発⽣を招く可能性があるので、使⽤を禁⽌すること)
スポーツ⽤具の管理
- 利⽤者にスポーツ⽤具を持参してもらうよう周知すること
- やむを得ず共⽤するスポーツ⽤具については、⼿が頻回に触れる箇所を⼯夫して最低限にした上で、こまめに消毒すること
- スポーツ⽤具の貸出を⾏う場合は、
- 貸出を⾏った利⽤者を特定できる⼯夫をすること
- 貸出前後に消毒すること
⾒学者の管理
- 施設に⾒学者も⼊場させる場合には、密な状態とならないよう、必要に応じ、あらかじめ席の数を減らすなどの対応をとること
- ⼤声での声援を送らないことや会話を控えること、マスクを着⽤すること等の留意事項を周知すること
運動・スポーツを⾏う施設の環境
- 換気設備を適切に運転することや、定期的に窓を開け外気を取り⼊れる等の換気を⾏うこと
- 体育館の床をこまめに清掃すること
- 体育館等の施設においても、密な状態とならないようにすること
施設の⼊⼝
- ⼿指の消毒設備を設置すること
- 施設利⽤時の利⽤者が遵守すべき事項のチェックリストを掲⽰すること
ゴミの廃棄
- ⿐⽔、唾液などが付いたゴミは、ビニール袋に⼊れて密閉して縛り、ゴミを回収する⼈は、マスクや⼿袋を着⽤すること
- マスクや⼿袋を脱いだ後は、必ず⽯鹸と流⽔で⼿を洗い、⼿指消毒すること
清掃・消毒
- 市販されている界⾯活性剤含有の洗浄剤や漂⽩剤を⽤いて清掃すること
- 通常の清掃後に、不特定多数が触れる環境表⾯を、始業前、終業後に清拭消毒すること
その他
- イベント主催者等が運動・スポーツの際の栄養補給等として飲⾷物を利⽤者に提供する際は、以下などに配慮して適切に⾏うこと
- 利⽤者が飲⾷物を⼿にする前に、⼿洗い、⼿指消毒を⾏うよう声を掛けること
- スポーツドリンク等の飲料については、ペットボトル・ビン・⽸や使い捨ての紙コップで提供すること
- 飲⾷物を取り扱うスタッフにはマスクを着⽤させること
5-5. 利⽤者が遵守すべき事項
- 以下の事項に該当する場合は、⾃主的に利⽤を⾒合わせること(利⽤当⽇に書⾯で確認を⾏う)
- 体調がよくない場合(例:発熱・咳・咽頭痛などの症状がある場合)
- 同居家族や過去14⽇以内に濃厚接触した知⼈に感染が疑われる⽅がいる場合
- 過去14⽇以内に政府から⼊国制限、⼊国後の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航⼜は当該在住者との濃厚接触がある場合
- マスクを持参すること(受付時や着替え時等のスポーツを⾏っていない際や会話をする際にはマスクを着⽤すること)
- こまめな⼿洗い、アルコール等による⼿指消毒を実施すること
- 他の利⽤者、施設管理者スタッフ等との距離(できるだけ2m以上)を確保すること(障がい者の誘導や介助を⾏う場合を除く)
- 利⽤中に⼤きな声で会話、応援等をしないこと
- 感染防⽌のために施設管理者が決めたその他の措置の遵守、施設管理者の指⽰に従うこと
- 利⽤終了後2週間以内に新型コロナウイルス感染症を発症した場合は、施設管理者に対して速やかに濃厚接触者の有無等について報告すること
- 施設利⽤前後のミーティングや懇親会等においても、三つの密を避けること
5-6. 利⽤者が運動・スポーツを⾏う際の留意点
- ⼗分な距離の確保
- 運動中、休憩中問わず、感染予防の観点から、周囲の⼈となるべく距離を空ける必要があることを理解すること(介助者や誘導者の必要な場合を除く)
(※)感染予防の観点からは、少なくとも2mの距離を空けることが適当である。 - 強度が⾼い運動・スポーツの場合は、呼気が激しく事を理解し、対⼈練習・試合以外では適切なソーシャルディスタンスを確保すること。
- マスクをしていない場合(特に、ボクシングであれば対⼈練習中)には、発⽣するエアロゾルにより感染の恐れがある⼗分な距離を空けるよう特に留意をする必要があること
- 運動中、休憩中問わず、感染予防の観点から、周囲の⼈となるべく距離を空ける必要があることを理解すること(介助者や誘導者の必要な場合を除く)
- 位置取り:ロードワークなどを⾏う場合、前の⼈の呼気の影響を避けるため、可能であれば前後⼀直線に並ぶのではなく、並⾛する、あるいは斜め後⽅に位置取ること。
- 運動・スポーツ中に、唾や痰をはくことは、基本的に禁⽌する。
- タオルの共⽤は禁⽌。また、施設内の設備に汗が付着した場合は、速やかに拭き取ること
- 飲⾷については、指定場所以外で⾏わず、周囲の⼈となるべく距離を取って対⾯を避け、会話は控えること。
- 同じトング等での⼤⽫での取り分けや回し飲みは⾏わないこと。
- 飲みきれなかったスポーツドリンク等を指定場所以外(例えば⾛路上)に捨てないこと。
- 運動・スポーツの際の⽔分・栄養補給等として飲⾷物を摂取する際は以下に配慮すること。
- 利⽤者は飲⾷物を⼿にする前に、⼿洗い、⼿指消毒を徹底すること。
- スポーツドリンク等の飲料の回し飲みは禁⽌し、個別に⽤意すること。
- 飲⾷物を取り扱う場合はマスクを着⽤し、⼿指衛⽣を徹底する。